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Wasabi Hot Cloud Storageはどんな環境に向くか|バックアップ先選定の確認項目

情シス実務バックアップクラウド

バックアップやアーカイブの保存先を探していると、容量単価が安いクラウドストレージとして Wasabi Hot Cloud Storage の名前を目にすることがあります。保存先のコストが膨らみ、遠隔地にもデータを持っておきたいという状況では、有力な候補に見えるかもしれません。

ただ、実際に検討を始めると「うちの用途に向いているのか」「既存のバックアップソフトと組み合わせられるのか」「本当に総額でも安いのか」といった疑問が出てきます。製品の特徴だけを見て決めると、取り出し費用や既存運用との相性といった観点が抜け落ち、契約した後に想定と違ったという事態になりかねません。

本記事では、Wasabi Hot Cloud Storage がどんな環境に向き、どんな環境には向かないのかを整理したうえで、バックアップ先として選定する際の確認項目や、導入後に見落としやすい注意点までを解説します。なお、料金や仕様は変わりうるため、確定的な数値は公式の一次情報での確認を前提とします

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目次

バックアップ先を探す中で Wasabi が候補に挙がる場面

まず押さえたいのは、このサービスがどんな場面で候補になるかです。

多くの現場では、バックアップの保存先が慢性的に膨らんでいきます。世代を増やせばその分だけ容量が必要になり、オンプレのストレージだけでは費用も設置場所も圧迫されます。さらに、災害やランサムウェアに備えて、本番とは別の場所にもデータを持っておきたいという要望が加わると、遠隔地の保存先を安く確保できるクラウドストレージが検討対象に入ってきます

バックアップ先を探す中で Wasabi が候補に挙がる場面

まず押さえたいのは、このサービスがどんな場面で候補になるかです。

多くの現場では、バックアップの保存先が慢性的に膨らんでいきます。世代を増やせばその分だけ容量が必要になり、オンプレのストレージだけでは費用も設置場所も圧迫されます。さらに、災害やランサムウェアに備えて、本番とは別の場所にもデータを持っておきたいという要望が加わると、遠隔地の保存先を安く確保できるクラウドストレージが検討対象に入ってきます。

困っているのはコストか、遠隔地保管か、運用か

検討の入り口として重要なのは、いま困っているのが何なのかを切り分けることです。単純に保存先のコストなのか、遠隔地保管の手段がないことなのか、それとも運用の手間なのか。困りごとによって、候補として見るべき観点も変わってきます。

注意したいのは、容量単価の安さだけを理由に候補を絞ると、後述する取り出し費用や運用面で齟齬が出やすい点です。まずは自社の保存先に対する要件を整理するところから始めるのが現実的でしょう。

Wasabi Hot Cloud Storage とは - 基本的な位置付け

Wasabi Hot Cloud Storage は、オブジェクトストレージ互換のクラウドストレージとして提供されているサービスで、バックアップやアーカイブといった保管・退避目的のデータの保存先として位置付けられることが多いものです。

IT基盤の中では、日常的に読み書きする業務の一次データを置く場所というより、保管や退避を目的とした二次データの保存先として捉えると整理しやすくなります。この点は、オブジェクトストレージという保存方式そのものの特性と重なります。仕組みの理解を先に整理しておくと、適合判断がしやすくなります。

料金や仕様は一次情報での確認が前提

一点、重要な注意があります。料金体系や取り出しに関する条件、最低保存期間といった仕様は、時期や提供条件によって変わりうるものです。本記事では確定的な数値には踏み込みません。実際の検討にあたっては、公式の一次情報で最新の条件を確認することが必要です。安さや特徴を伝聞で判断せず、自社が使う条件に当てはめて確認する姿勢が望ましいでしょう。

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なぜ「自社に向くかどうか」の判断が難しいのか

Wasabi Hot Cloud Storage が自社に向くかどうかは、製品の特徴やスペックを並べるだけでは判断しきれません。

適合するかどうかは、自社のデータの使い方や既存の運用によって変わるためです。保管中心でめったに取り出さないデータなのか、頻繁に読み書きするデータなのか。すでに使っているバックアップソフトや運用の仕組みに組み込めるのか。こうした前提が違えば、同じサービスでも評価は変わります。

「安い」だけでは自社に合うとは限らない

現場でありがちなのは、容量単価が安いという情報だけで「うちにも合うはず」と考えてしまうことです。実際には、取り出しの多い用途では費用や時間の面で想定と異なることがあり、既存のバックアップソフトとの連携可否によっては、そもそも運用に組み込めない場合もあります。担当者が迷いやすいのは、ソフト連携や取り出しの条件、運用の引き継ぎといった、製品紹介では表に出にくい部分です。

まずは自社のデータの性質、アクセス頻度、既存のバックアップ運用への組み込み可否を把握することが、適合判断の出発点になります。

向いている環境・向いていない環境 - 適合条件の整理

ここが本記事の核心です。Wasabi Hot Cloud Storage が向く環境と向かない環境を、適合条件と非適合条件で整理します。

向いていると考えられる環境

  • バックアップやアーカイブなど、保管・退避目的のデータを置きたい

  • 遠隔地の保存先を確保し、災害やランサムウェアに備えたい

  • アクセス頻度が低く、取り出しの回数が限られている

  • 既存のバックアップソフトや運用が、オブジェクトストレージ互換の保存先に対応している

向いていないと考えられる環境

  • 大容量ファイルを高頻度で読み書きする、業務の一次データ置き場として使いたい

  • 取り出しやリストアの頻度が高く、費用や時間が読みにくい

  • 既存の運用がこの種の保存先に対応しておらず、連携の目処が立たない

これらは目安であり、要件次第で評価は変わります。どんなサービスも万能ではないという前提で、自社の用途と既存運用に照らして判断することが望ましいでしょう。あわせて、この保存先を使うこと自体がバックアップ対策の完了を意味するわけではなく、世代管理や保存先の分散といった考え方と組み合わせる前提で捉える必要があります。

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バックアップ先選定で確認すべき項目

Wasabi Hot Cloud Storage に限らず、バックアップ先を選ぶ際には、共通して確認しておきたい項目があります。適合判断とあわせて、次の観点を整理しておくと選定を進めやすくなります。

確認の観点

確認したいこと

要件

必要な容量、保存期間、許容できる復旧時間、費用の上限

データの性質

保管中心か、取り出しが多いか。アクセス頻度

ソフト連携

既存のバックアップソフトや運用に組み込めるか

取り出し条件

取り出しにかかる費用・時間、最低保存期間などの条件

セキュリティー

アクセス制御、暗号化、改ざん耐性 (イミュータブル) の要否

運用体制

誰が管理するか、費用の増減を誰が見るか

これらは、単体で「対策完了」とするための項目ではありません。3-2-1 の考え方に沿って、世代を分け、保存先を分散する前提のなかで、その一つの保存先が要件を満たすかを確認するためのものです。確認項目を先に決めておくと、料金や機能の情報に振り回されずに判断しやすくなります。

導入・運用で見落としやすい注意点

最後に、契約した後に問題化しやすい点を公平に扱います。ここは「選ぶかどうか」だけでなく「使い始めた後に運用が回るか」という視点が欠かせません。

取り出し費用と時間は使い方次第で変わる

容量を安く確保できても、いざ復旧やリストアでデータを取り出す段になって、想定していなかった費用や時間がかかることがあります。とくにバックアップ先は、普段は書き込むだけで取り出しは少ないという前提で選ばれがちですが、実際に障害が起きて大量に取り出す場面では話が変わります。自社が復旧時にどれだけ取り出すかを想定して確認しておくことが必要です。

契約しただけでは運用は回らない

保存先を契約した段階で満足してしまい、運用の設計や体制づくりが後回しになることも少なくありません。誰がアクセス権限や鍵を管理するのか、費用の増減を誰が見るのか、担当者が不在でも運用が続くのか。こうした体制が伴わなければ、契約しただけで活用されない状態になりかねません。導入しない場合のリスクだけでなく、導入しても運用できない場合のリスクも、あわせて検討することが必要です。

導入前の進め方 - 要件整理から検証まで

検討を具体的に進める場合、いきなり本番のバックアップ先として全面的に採用するのではなく、段階を踏む進め方が現実的です。

  1. 要件の整理:必要な容量、保存期間、許容できる復旧時間、費用の上限を先に決める

  2. 適合の確認:向いている環境・向いていない環境に照らし、自社が当てはまるかを確認する

  3. 一次情報の確認:料金体系や取り出し条件、最低保存期間などの最新の仕様を公式に確認する

  4. 小さく検証:対象データを絞って試し、書き込みと取り出しの手順、既存ソフトとの連携を確かめる

  5. 運用設計:アクセス権限、管理担当、手順を決めてから対象を広げる

要件を決めないまま料金や機能の比較を始めると、情報に振り回され、判断が空回りしやすくなります。まず自社の要件を言語化し、そのうえで小さく検証してから広げるのが望ましいでしょう。

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よくある4つの疑問

Q1. Wasabi はどんな用途に向いていますか。

バックアップやアーカイブなど、保管・退避目的のデータの保存先として候補になる場合があります。一方、大容量ファイルを高頻度で読み書きする業務の一次データ置き場や、取り出しの多い用途には向かないことがあります。自社のデータの性質に照らして確認することが必要です。

Q2. 既存のバックアップソフトと組み合わせて使えますか。

環境によって異なります。オブジェクトストレージ互換の保存先に対応したソフトや運用であれば組み込める場合がありますが、対応状況は製品ごとに異なります。既存の運用に組み込めるかを事前に確認することが望ましいでしょう。

Q3. 容量単価が安いと聞きますが、総額も安くなりますか。

環境によって異なります。容量単価が安くても、取り出しの費用や条件によっては、復旧時に想定と異なる総額になる場合があります。自社が復旧時にどれだけ取り出すかを想定し、公式の一次情報で条件を確認したうえで試算することが望ましいでしょう。

Q4. これだけでランサムウェア対策は十分ですか。

一つの保存先を用意することは対策の一部にすぎず、それだけで十分とは言えません。3-2-1 の考え方に沿って世代を分け、保存先を分散し、改ざん耐性や復旧の確認まで含めて設計することが必要です。保存先の選定は、その全体の中の一要素として位置付けることが望ましいでしょう。

まとめ

Wasabi Hot Cloud Storage は、保管・退避目的のデータの保存先として候補になりうる一方、選定にあたっては「安いかどうか」ではなく「自社の環境と用途に合うかどうか」を確認することが要点になります。この記事の要点を整理すると、次のとおりです。

  • オブジェクトストレージ互換のクラウドストレージで、保管・退避目的の二次データ向けと捉えると整理しやすい

  • 料金や仕様は変わりうるため、確定的な数値は公式の一次情報で確認する

  • 向き不向きは、データの性質・取り出し頻度・既存運用との相性で変わる

  • 選定時は要件・ソフト連携・取り出し条件・セキュリティー・運用体制を確認する

  • 一つの保存先を用意するだけでは対策は完了せず、3-2-1 の考え方と併用する前提で捉える

自社の要件を整理し、適合を確認したうえで小さく検証する。この順序で進めることが、判断を誤らないための現実的な進め方と考えられます。

自社環境で Wasabi Hot Cloud Storage が適合するか、あるいは他の保存先とどう組み合わせるかの判断が難しい場合は、現状の要件や既存のバックアップ運用を整理したうえで、構成確認や検証方法について相談する選択肢もあります。

横河レンタ・リースは、IT 機器のレンタル・販売に加え、ストレージやバックアップの構成設計から運用保守までを組み合わせて提供しています。保存先の適合判断や既存運用への組み込みを自社だけで判断するのが難しい場合は、資料のご確認や構成のご相談から始める選択肢もありますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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