コラム

HPE Morpheus VM Essentials Software導入前チェックリスト|構成・可用性・運用・互換性の確認

作成者: 横河レンタ・リース株式会社|2026/09/27 15:00:00

導入前に確認する5つの領域

詳細を確認する前に、検討に必要な領域を把握しておきます。

確認領域

主な確認内容

確認できない場合の対応

構成・互換性

対象バージョン、ホストOS、クラスター構成、Qualification Matrix

構成を確定せず、公式資料または販売窓口で確認する

可用性

ホスト数、ライブマイグレーション、自動フェイルオーバー、待機リソース

本番想定構成でPoCを行う

運用

監視、権限、障害対応、アップグレード

担当者と運用手順を決める

データ保護

バックアップ、リストア、vTPM、Secure Boot、BitLocker

取得だけでなく復旧まで検証する

移行・連携

VMware連携、停止時間、切り戻し、移行後の業務確認

移行計画またはPoCの検証項目へ引き継ぐ

すべての項目を資料だけで確認できるとは限りません。判断できない項目は放置せず、個別確認またはPoCへ引き継ぎます。

最初に移行計画の準備状況を確認する

VM Essentials固有の構成を検討する前に、移行対象、停止時間、切り戻し、移行後の運用体制を整理します。

  • 移行対象と業務システム間の依存関係

  • 許容できる停止時間と切り戻し条件

  • 移行後の監視、バックアップ、運用担当者

これらが決まっていない場合、製品固有の構成を確認しても、導入時期や移行方法を確定できません。

移行計画の前提から整理する場合は、仮想化基盤移行で見落としやすいポイントをご覧ください。

構成条件を確認する

本記事の「次へ進める条件」は、製品採用を確定する条件ではありません。次の確認段階へ進むための条件です。

ホストOSだけではクラスター構成を決められない

ホストOSだけを見て構成可能と判断すると、利用したいクラスター構成を選択できない可能性があります。v9.0.2のUser Manualでは、ホストへUbuntu 24.04またはUbuntu 22.04を事前に導入します。ただし、Ubuntu 22.04では最新のクラスター構成を利用できないと説明しています。

  • VM Essentialsのバージョン

  • 使用するクラスター構成

  • ホストOSとバージョン

  • ホストOSの導入方法

  • ホストOSとVM Essentialsのアップグレード方法

  • 適用するUser ManualとRelease Notes

次へ進める条件:対象バージョン、ホストOS、クラスター構成の組み合わせを確認できている。

ここで止める条件:参照資料のバージョンが不明、または異なるバージョンの構成要件が混在している。

Qualification Matrix未掲載構成はPoCだけで判断しない

既存のハードウェアを利用する場合は、メーカー、製品ファミリー、モデル、世代、CPU、ネットワークアダプター、ストレージアダプター、ファームウェア、接続するストレージ、ストレージプロトコルを整理します。

Qualification Matrixとの照合では、サーバーのモデルだけでなく、アダプター、ファームウェア、ストレージとの組み合わせも確認します。未掲載の場合は、HPEまたは販売窓口へサポート範囲を確認します。

PoCで動作を確認できても、HPEによるサポートを受けられることの根拠にはなりません。動作確認とサポート可否は分けて判断してください。

ネットワークとストレージの準備範囲を明確にする

  • 管理用、仮想マシン用、ストレージ用のネットワーク

  • ネットワークインターフェースと冗長化

  • VLANとネットワークボンディング

  • IPアドレス、DNS、NTP

  • 外部ストレージへの接続方式

  • ネットワークまたはストレージ障害時の影響範囲

ネットワーク帯域やポート数は、クラスター構成やストレージ方式に合わせて設計します。外部ストレージは、モデル、ファームウェア、プロトコル、接続アダプターをQualification Matrixと照合してください。

必要な可用性を確保できるか確認する

VM Essentialsでは、HVMクラスターの構成によって、ライブマイグレーションや自動フェイルオーバーなどの機能を利用できます。ただし、機能があることと、自社が必要とする可用性を確保できることは別です。

  • HCI構成か非HCI構成か

  • ホスト数

  • ライブマイグレーションと自動フェイルオーバーの要否

  • フェイルオーバー先に必要なCPUとメモリー

  • ストレージやネットワーク障害による影響

  • 障害の検知方法とアラート受信者

  • 復旧後のアプリケーション確認担当者

  • 業務再開を判断する担当者

単一ホストの検証では、構築や基本操作を確認できます。一方、複数ホスト間のライブマイグレーションや、ホスト障害時の自動フェイルオーバーは確認できません。検証環境と本番環境の違いを未確認事項として記録します。

次へ進める条件:必要な停止時間、復旧方法、待機リソース、担当者を説明できる。

ここで止める条件:機能名だけで可用性を判断している、または障害発生から業務再開までの手順が不明である。

HAの設定条件を確認する

HAの役割、利用要件、設定時の注意点は、VM EssentialsのHA設定と検証結果で解説しています。リンク先はバージョン8.1.2までの情報を基にしています。

通常運用へ移管できるか確認する

構築担当者が操作できても、日常の運用担当者が監視や障害対応を継続できなければ、通常運用へ移管できません。

  • 仮想マシンの起動、停止、作成、変更

  • 管理者権限と利用者ごとのロール

  • 監視対象と監視開始日

  • アラートの受信者と一次切り分けの担当者

  • 製品、ホストOS、ハードウェア、ストレージの問い合わせ先

  • ソフトウェアとHVMホストエージェントのアップグレード担当者

  • アップグレード後の確認項目

  • 運用手順書と担当者不在時の引き継ぎ方法

VMware環境で使用している監視、バックアップ、権限管理を、そのまま継続できるとは限りません。運用項目ごとに、継続、設定変更、別方式への変更を判断します。

スナップショットをバックアップの代わりにしない

  • スナップショットを使用する目的

  • バックアップの対象

  • 保存先と保持期間

  • リストアする単位

  • ホストやストレージの障害時に利用できるか

  • リストアに必要な時間

  • リストア後のアプリケーション確認方法

バックアップの取得結果を確認するだけでなく、リストアテストまで実施します。

SnapshotとNative Backupの用途やリストア範囲は、VM Essentialsのスナップショットとネイティブバックアップで解説しています。リンク先はバージョン9.0.0までの情報を基にしています。

v9.0.2で確認したい変更点

  • アップグレード後にHVMホストエージェントの更新有無を確認する

  • vTPMとSecure Bootを使用する仮想マシンの動作を確認する

  • BitLockerを使用する仮想マシンで、スナップショットへ戻した後の起動を確認する

  • GFS2データストアを使用する場合は、ホスト再起動後のマウント状態を確認する

HVMホストエージェント

v9.0.2へのアップグレード後は、HVMホストエージェントのアップグレードが必要かを調べます。対象バージョンと各ホストの状態を確認し、必要なホストに対して実施します。

操作方法は、HPE Morpheus VM Essentials Software Release Notes - 9.0.2を参照してください。

vTPM、Secure Boot、BitLocker

  • 各機能を使用する仮想マシン

  • 回復キーの管理方法と保管場所

  • 復旧、移行、フェイルオーバー時の動作

  • スナップショットへ戻した後の起動

  • 復旧後の業務動作を確認する担当者

適用条件は構成によって異なります。共有メタデータの設計と、実際の復旧動作を確認してください。

GFS2データストア

GFS2データストアを使用する場合は、ホスト再起動後のマウント状態をPoCの対象にします。データストアが正常にマウントされ、読み書きできることを確認してください。

VMware環境との連携条件を確認する

  • 対象とするVMware環境

  • vCenterとの接続と権限

  • 管理対象にする範囲

  • ネットワークと証明書

  • 監視とバックアップ

  • VMware環境とHVM環境の運用担当者

  • 障害時の問い合わせ先

二つの環境をあわせて管理できることと、現在の運用を変更せずに継続できることは同じではありません。併存期間中の監視、バックアップ、権限、障害対応を、どちらの環境で実施するか整理します。

確認結果から次の行動を決める

未確認項目がある場合は、構成の成立性やサポート可否に影響するかを調べます。必須要件に関わる項目は、確認が終わるまで構成を確定しません。資料だけで判断できない動作は、個別確認またはPoCへ引き継ぎます。

導入判断フロー

確認段階

判断

次の行動

対象バージョンと構成を特定する

特定できない

参照資料と対象構成を整理する

Qualification Matrixを確認する

認定状況またはサポート可否が不明

HPEまたは販売窓口へ確認する

可用性と運用を確認する

必須要件を満たせない

構成を変更するか、候補から外す

資料で技術的な動作を確認する

判断できない項目がある

PoCの対象にする

必須要件と未確認事項を整理する

条件を満たしている

導入候補に残す

 

判定

状態

次の行動

導入候補に残す

構成要件を満たし、必要な可用性、運用、互換性を確認できている

PoCまたは導入計画へ進む

追加確認する

資料だけでは判断できない項目がある

担当者と期限を決め、個別確認またはPoCへ進む

候補から外す

必須要件を満たせない、または必要な可用性や運用を実現できない

構成を変更するか、別の製品候補を検討する

PoCでは、本番相当の負荷、ライブマイグレーション、障害時の動作、バックアップとリストア、監視、権限、VMware環境との併存、暗号化機能、ホスト再起動後のデータストアを確認します。

PoCの検証項目と合否基準は、VMware移行PoCで検証すべき項目で整理しています。

導入前チェックリスト

確認領域

確認項目

未確認の場合の対応

構成

対象バージョンとクラスター構成が一致しているか

参照資料と対象構成を整理する

構成

ホストOSとクラスター構成が対応しているか

構成を確定せず、公式資料を確認する

互換性

サーバーと周辺機器をQualification Matrixで確認したか

HPEまたは販売窓口へ確認する

互換性

ストレージ、プロトコル、接続アダプターを確認したか

組み合わせごとの対応状況を確認する

ネットワーク

VLAN、冗長化、DNS、NTPを設計したか

設計担当者と確認期限を決める

可用性

必要な停止時間と復旧条件を満たせるか

本番想定構成でPoCを行う

可用性

待機リソースと障害時の担当者を決めたか

必要なリソースと対応手順を整理する

運用

監視、通知、一次切り分けの担当者を決めたか

運用開始前に役割を明確にする

データ保護

バックアップの取得とリストアを確認したか

復旧テストをPoCに含める

アップグレード

ソフトウェアとHVMホストエージェントの更新手順を決めたか

対象ホストと実施後の確認項目を整理する

セキュリティー

vTPM、Secure Boot、BitLockerの利用状況を確認したか

復旧、移行、フェイルオーバー時の動作を確認する

VMware連携

管理範囲と併存期間中の運用を整理したか

二重運用になる項目と担当者を整理する

PoC

資料だけでは判断できない項目を抽出したか

合否基準と判定者を決める

判定

導入候補、追加確認、候補外のいずれかを決めたか

未確認事項の担当者と期限を設定する

各項目は「確認中」のままにせず、必ず確認できていない理由、担当者、期限、次の対応を別途記録してください。

まとめ

VM Essentialsの導入前には、製品機能だけでなく、自社環境で構成が成立するかを確認します。必要な可用性と運用を継続できることも判断条件です。

  • ホストOSとクラスター構成の組み合わせ

  • Qualification Matrixとの照合

  • ネットワークとストレージの準備範囲

  • 必要な可用性と障害復旧方法

  • 監視、バックアップ、権限

  • ソフトウェアとHVMホストエージェントのアップグレード

  • vTPM、Secure Boot、BitLockerを使用する仮想マシン

  • VMware環境との併存条件

  • 資料だけでは判断できないPoC項目

ハードウェア要件を満たすだけで、導入可能とは判断できません。障害発生から業務再開までの流れを説明できる状態にした上で、導入候補に残すか、追加確認へ進むか、候補から外すかを決めます。

参考資料

VM Essentialsの構成・導入条件を確認したい方へ

Qualification Matrixとの照合や、資料で確認する項目とPoCで検証する項目の切り分けが難しい場合があります。

横河レンタ・リースでは、現行環境と候補構成を基に、Qualification Matrixで確認する項目、構成設計で決める項目、PoCで検証する項目を整理します。
相談時点で、すべての情報がそろっている必要はありません。現在使用しているサーバーとストレージ、仮想マシンの台数、必要な可用性、未確認項目など、分かる範囲の情報をご用意ください。

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